重症心身障害児施設とは

重症心身障害児施設は、重度な知的障害および重度な肢体不自由が重複した児童を受け入れて、治療・療育・日常生活の支援などを行う施設です。日本では、医療技術の進歩により新生児の死亡率は大きく低下しましたが、その一方で重度の障害を持つ子供の割合が増加している傾向にあります。中でも、知的障害と肢体不自由の状態が重度な重症心身障害児への対応を優先的な課題とし、子供とその家族をサポートするための施策として重症心身障害児施設が各地に開設されました。

平成29年度の場合、ベッド数13,579床の公立・民間法人施設が132カ所、ベッド数60床の国内施設が1カ所、ベッド数7,983床の独立行政法人国立病院機構が73カ所国内にあり、長期入所・短期入所による重症心身障害児の支援を行っています。一方で推定2万9千人ほどの重症心身障害児は居宅にて療養。重症心身障害児施設では、居宅生活を支援する事業も行っているのです。日本では当初、重症心身障害児は施設入所により支援することを方針としていたのですが、その後は訪問看護事業など居宅支援を中心とした施策が拡充されました。ただし、重症心身障害児に対しては常に医療的な対応が必要であり、専門性を備えた施設との関わりが欠かせないことから、重症心身障害児施設の重要性は以前よりもさらに高まっています。施設での支援と居宅での支援は車の両輪のようなものであり、両者の連携に基づいたきめの細かい支援が求められているのです。